カラスの生態:カラスはヒトと友達になりたいのかもしれない
2年以上彼らとコミュニケーションをしていると、そう思えることが多々ある。
初対面でもヒトがカラスに興味を持って接すると、カラスはヒトの子供のような態度を示す。
子供同士はあまり抵抗が無く友達を作ってしまうこともある。
気軽に声を掛けて自己紹介をすることもあれば、モジモジしながら友達になりたい光線を出して、それとなく「こっちに気づいてよっ!」みたいにチラチラ見ながら距離を詰めてくる。
ハシボソの場合は馴れ馴れしく話し掛けてこないが、目を合わせず羽繕いとか地面ほじくりしながらジリジリと安全な距離を確かめつつ。
ハシブトはダイレクトな態度を示す個体が多く、真正面から「ねぇねぇ、何してんの?」というような態度で。
どちらもヒトがニコニコしている場合だが。
哺乳類は基本的に怒っているか、無関心か、興味を持っているか、獲物を狩ろうとしているのかを表情。特に目で判断する。ヒトとて例外ではない。
観察していると、鳥たちの中にはヒトの表情で近寄っても安全かどうかを判断している者がいると分る。
カラスは特にその傾向が強い。普通のヒトはカラスそのものに嫌悪感を示すのでニコニコしながら見つめるなんてことはしない。無視するか追い払うかのどちらかだ。
オラはカラスは野鳥で、他との差別をしていない。むしろ、鳥類の中でも高い能力値を持つ彼らには興味がある。
好意のある目で見つめると、カラスの方から友達になりたそうな態度で寄ってくる。
主たる目的はもちろん「何か食べるもの無いっすか?」だけど、カラス達がヒトに近付く主目的のひとつにヒト観察がある。
間近でヒトの観察ができるというのは、彼らにとっては冒険のひとつで、ヒトの怖いもの見たさに近いと感じられる。
だからジリジリと距離を詰めながら安全な距離を測っている。それでも追い払わないと知れば真正面からヒトの顔をジーっと見て、個体識別のために顔を覚えようとしてくる。
カラスは完全にヒトの顔の違いを覚えられる鳥だ。
変装しても無駄だということも証明できている。顔見知りのヒトが来ると、簡単に見破る。この点では疑問が残るのだが、サングラスとマスクを装着しても見破ることができる。
カラスの知能の高さは半端では無いと驚かされるひとつの能力。
もしかしたら、ヒトよりも優れた視力のお陰で、ヒトよりも高い識別能力を持つようになったのかもしれない。
ヒトが見ている世界と、カラスが見ている世界は違うのだろう。
カラスにとって、ヒトが他の生物を見ている以上に、もっと違った見方をしているのかもしれない。
カラスにとってヒトは天敵であり、エサの供給源であり、観察の対象でもあり、あわよくば仲良くしたい対象なのかもしれない。
そ知らぬふりをして、いつも近くの電線とか看板とかの高いところから関心の無いふりをし、構ってくれるヒトを品定めしているのかもしれない。
そう思わせられる態度や目線を多く見てきたヒトとしては、彼らカラスは害鳥ではなく多くの野鳥の中の1種だという接し方をしてほしいような気がする。
それによって彼らカラスは普段と違った生態を間近で見せてくれるという体験をくれる。
カラスは面白いと感じたヒトはたぶん、そういったことに気づいたヒトなのかもしれない。