エサヤリ縮小中
どうにもこうにもAボスとCボスが役に立たない。
西ボスや東ボスみたいな超ハシボソガラスみたいにハシブトを追い払えとは言わないが、黙って同じ電線に止まるようなら補給物資などやらんぞ。
チュンも毎朝来るのだが、ハトが仲間を呼んだらしく、ハト大嫌いなオラにしてみれば余計なものが2種類ほど大量に来るのでエサは暫くタイミングを見計らってやろうかと。
それにチュンの寄付きが悪いので(まぁ、すぐ近くに隠れているクロネコが悪いのだげどな)、同じくチュンにもやらない。
とはいってもこの暑さだ。
9月だってーのにまだ子作りしてやがるものだから子供手当てを打ち切るにはちょっと気が引ける。
だから直接貰いにくるやつだけ相手にすればいいかもな。
スズメは一番弱いから多少の我侭は許す。とりあえず、ふわもこ団子が最高の癒しなので最優先。
ハトは馬鹿で図々しくて乱暴で空気読めない大嫌いな家禽(家畜)だから無視。
つうか、野良ハトを増やしているあの連中をなんとか法律で規制できないものかと思うのだ。
オラとチュンのフワモコタイムを返せバヤロウ!
ハシボソは見ていて飽きないし、あれはかなり礼儀正しい上に静かなので相手にしたいクチ。
あのツンデレ加減はどうにも参る。同属が居るとツンで、オラだけのときはデレなのだ。
そのギャップが実に凄い。これは仲良くならないと決して見せないので知ってる人だけの楽しみでもある。
ハシブトは性格に個体差がありすぎるのだが、知り合いの90%ほどはちゃんと静かにしている。
ただ、チュン共を蹴散らすのは勘弁して欲しいのだ。そのへんはハシボソ共を見習って、自分の分とチュンの分は違うのだと理解して欲しい。
調和を重んじるハシボソとは違い、基本的に我侭で馴れ馴れしくて甘えん坊で知識欲の塊みたいなハシブトは見ていて飽きないリアクションのオンパレードなのだが、いかんせん空気が読めない。
ただ、ハトと違ってハシボソもハシブトも信頼度と距離の取り方が旨い。
コッチはじらされているようだが、向こうもじらされていると思っているのだろう。
まぁ、子供はその辺をまだ学習していないから、興味本位でオラのまん前に鎮座して小首を傾げてチョーダイ(クチを空けてアーン!)してくるので、ちょっと参る・・・アレは流石に反則だ。反則技といっていい。
どんだけ可愛い光線を出してやがんだゴルァ! ヾ(`(Д)´)シ 可愛すぎるぞ!
(;´(Д)`)=3 鳥さん大好きニンゲン(一応ヒト科)には殺人級の可愛さだ・・・
さて、ハシボソがぞろぞろと寄ってくるので逃げる。
つうか、追いかけてくるのが分かってるから事前に袋を出して、カスを地面にパラパラ・・・
(* ̄(エ) ̄)ノ はい、オシマイですよ?
これでついてこない。これだけはカンペキに学習してくれた。
去年まではそれでもついてくるのが居たけど、今年は物分りがよろしい。
で、逃げるふりして近所のローソンへ追加物資を買いにいく。
ハシボソに不公平だからパンとジャーキーを買った。
海岸を東から西へ移動しながら各エリアのボスへ配給をする。
東ボスも流石にロクなもん食ってないのが、久しぶりにマシな食事をしたいという。
オラが一番最初に関わった大事な東ボスだから多めにやる。
東2と子供。西2と子供。そして西ボスのエリアに。
縄張りを持つハシボソは徒党を組まずに家族単位で行動するから楽だ。
エリアが違えばそこから動かない。
一番広い西ボスエリアに入るまでオラの姿を視認した西ボス一家がこっちに歩いてくる。
飛んでは来ない。ハシボソは歩きが基本だからだ。
すっかり頭部の羽毛が抜けてしまったボスと奥さん。ハゲタカだな・・・まるで。
子供も来る。首から上が茶色い特徴は幼鳥のそれ。
すっかり太陽も沈んでハシブトは塒に移動。邪魔は入らないので一番最後に西ボスに全部置いてくる。
西ブト♂が途中で単独行動してきたので仕方がないから少し分ける。
西ボスの食事を邪魔されたくないからだ。
これであと2週間は行かなくていいや。少し公園を離れて国道沿いでも歩こうかと思う。
完全にあてにされたくないし、それでも一定のハシブト避けになっているハシボソを邪険にもできない。
とにかく、ハシボソガラスには密に生息してもらわないとハシブト避けの意味が無いからだ。
公園にあれだけの木が生えててハシブトが20羽ほどしか居ないのは、ハシボソガラスのボスたちが追い出しているからだ。
公園にいるハシブトは2組。それぞれみんな家族と親族。去年生まれのヤツも混じってる。
だからそいつらにも実際はがんばって貰わないとね。
カラスが増えないようにカラスを手懐ける。
一見矛盾しているように見えて、実際は効果を確認している方法だ。
縄張りを持つということを利用してそれ以上増えないようにするのも手だからだ。
仮に今のボスたちを排除しても他のカラスが来るだけ。
それだと新顔はそうそう強い固体などおらず、一気に開いてしまった縄張りに無造作によそのカラスが入り込んで無法地帯になってしまう。それだけは嫌だ。
ちゃんとバランスをとっているからこそ、今の個体数で済んでいる。
仕事でカラス研究をしている人の文献の存在を知らないし、そもそも対峙するニンゲンによって対応を変えるカラスに厳密な生態など存在しない。彼らは実はとても調和を大事にする。
しかも学習能力も高いので、野生でもちゃんと躾ければ3年くらいでモノになる。
可能であれば子供の頃から仕込めば良いのだけど、これから子供は親を離れて大規模な若鳥だけのグループを作る。その7割が餓死で死ぬかもしれないのだが、とにかく親の縄張りから殆どが出て行く。
それは過密によるエサ不足で自滅しないめの習性というものだ。
強い固体や賢い固体は生き残り、弱い固体は死ぬ。
それだけのこと。今日、目を丸くして小首を傾げてクチを開けてた固体は推らく生き残れない。
今年の早いうちに生まれた固体はもう親と殆ど同じ体格で生き残る確立は高い。
あとは運だな。彼らにとって生き残るために良いことと悪いことの区別はつかないだろうし、そもそもニンゲンの尺度の良い悪いを当て嵌めるわけにも行かない。
彼らはカラスであって、ニンゲンではないのだ。
あとは彼らを正しく理解してあげることだけ。
少なくとも彼らは犬や猿ほどの危険は無いし、少なくともネコより物分りも良い。
一番身近で一番理解されていないというだけでどこにでも居る存在だ。