深浦、鰺ヶ沢方面、津軽半島一周、下北半島一周という具合にこの盆休みに青森県内を2000kmほど走行した。 主に写真を撮るためではあったのだが、Googleローカルガイドに投稿するネタ探しとでも言うべきか。
まぁ、暫く走っていないと感覚が鈍るので、滅多に行くことの無い下北半島のおさらいという名目かな。
で、タイトルの願掛岩(がんかけいわ)は下北半島の佐井村にある巨大な岩なのだが、過去に一度だけ大間側から通過し、その少し南にある海岸の柱状節理に感動したものだ。勿論、願掛岩も見る角度によっては倒れそうなくらい際どい大岩なのだが、今回は柱状節理の素材集めで1時間ほど海岸を探索。そして願掛岩周辺を撮りまくった。 画像はGoolgeマップ参照。
で、Googleマップに書けないような状況を今回は体験したので記録として書いておく。
その場所だが、「女がんかけ岩」の北側にある断崖絶壁というか、まるで飛び込み台のような尖った崖。ここにも柱状節理があり、回りには「カニカマ」のような岩肌が多数露出している。この崖自体の強度は疑わしいレベルで、通行止めやら立ち入り禁止にはなっていないので、人は入ることができるが、道はあるのに手入れもされておらず、手摺もボロボロ。そのうえ、その飛び込み台のような崖には安全対策が無い。さらに下に伸びる道があるのだが、そこからは人がここ暫く通ったような跡が無く、何のための道なのか全くわからない。
で、ここでおかしな感覚に襲われる。オラにはちょっとだけ第六感があるのだが、そこに立って崖の下の岩肌を撮影しようとしたところ、足に力が入らなくなり立って居られなくなった。 危ないと思って地面に尻餅をついたところ、前立腺から下っ腹に突き抜けるおかしな感覚が・・・。そしてとうとう立てなくなったので、仕方が無く上体を捻り、後ろに向き直して手で這って上に移動しようとしたのだが、そこには草のように生えたハマナスが・・・
なんてこったい!!!。ハマナスはバラ科の植物で細かく鋭い刺が無数にあるため、手が地面に着けない。前に手を着けば良いのだろうが、動物的勘が「ダメだ!」と言ってる。下半身は相変わらず力が入らず体を捻って上に上れるような状態ではない。
そうしているうちに、足がガクガクし始め、嫌な感覚が増大。ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!!!。こんな人気の無い場所で周りには手を借りられる人も居ないため、自力で何とかするしか方法は無かった。背中もゾワゾワしてきた。股関節の感覚はそろそろ無くなりつつある・・・自分の体重が増加しているのかのように体が重い。いや、それだけ脚の感覚が無いのか・・・
お盆だし、こんな落ちたら死ぬような場所。ここで過去に何も無かった訳がない・・・ちくしょー!嫌な気配はあったけど、あそこだけピンポイントでトラップ(思念)があるのかよ!!! ダメだ!引っ張られる!!!。
そうだ!。「死んだ人間よりも、生きている人間の方が強い!」 という言葉を思い出す。
・・・・・・・ んんんんんっ!・・・・うりゃーーーー!!! どっこいしょ!!! と下半身に気合を込めて、一発で完全に立ち上がれるように大声を出して立ち上がる。ここで半端に立ち上がったら、よろけて下に落ちる。多分、アッチもそのつもりだろうが、オラは一度うつ病でぶっ壊れているので克服したその反動で常に躁状態(そうじょうたい)でもある。 躁状態に見えないかもしれないが、その躁状態を押さえる理性スイッチをONにしているから見えないのであって、常に追い込まれることに強烈な嫌悪感がある。 だから、追い詰められるとスイッチが簡単にONになる。つまりリミッターOFFである。
まずは、そのトラップから離れる。足場が安定した場所まで数歩。たったの数歩。そこまで行けばこのトラップから出られる。ズボンの膝上を掴んででも、無理やり歩いて離れることが、いま、この場で、この時に、全力で行うこと。ただそれだけしか考えなかった。
その場所を離れられたあと、その美しい景色からは何も感じられない。ただ、あの崖の突端には立ってはいけない。そういう感覚だけは強烈に残っている。背中を打ったわけでもないし、肩を負傷するような打撲もアスレチックも今回はしていない。でも、昨日の晩の寝るまでは非常に肩が重かった。というか、そこだけ赤黒くなっていた。いまはもう殆ど痛みはない。
あの場を離れた後、念のため、気合を入れながら体に纏わりついた念を払うかのように駐車場に戻る。 急いで男がんかけ岩の向かいにある神社に向かう。県内の神社や祠の写真を網羅しようかと考えていたオラは、最初に通過した時点で神社の位置は把握していたので迷わず向かった。
頭を下げて鳥居を潜り、神社でご挨拶
(二礼二拍手一礼)をしたら少し嫌な感覚が消えた。憑き物落としなら高山稲荷神社が最適かもしれない。 だが、ここは下北半島。津軽半島は対岸で、しかも半島の西側。簡単に行ける距離でもない。ここまでで既に300kも走行し、いまはお盆で道路は彼方此方渋滞している。
今度、念のために落としに行こう。
<今回の教訓>
1.やはり直感は大事にしよう。何かありそうな場所には何かが在る(居る)。
2.普段から「死んだ人間よりも、生きている人間の方が強い!」とは言ってるものの、咄嗟に思い出せなかった。
3.ピンポイントというものがあることを知った。そこに立つまではさほど感じられなかったが、まさかこんな事が・・・
4.今後は野外活動をするときはお守りか護符でも持っていたほうが良さげ。物理現象なら何とでもなるが、あんな意味不明な状況には脳味噌が筋肉で出来ていても無理がある。
5.完全に油断していた。今までは金縛りやら寝床を歩かれる。隣に居て一緒に焚き火を見つめる程度であったため、オラなら実害は及ばないと考えていた。
流石に実害というか、こんな危ない目に遭ったのは初めて。油断しすぎていた。オラは何でも気合で何とかしようとするので、不注意で物理的に危険な目に遭うことも珍しくは無い。それらも気合で持ち直して回避し、怪我も軽傷で済んでいる。人にとっては危ない行動も、全て身体能力で強引に回避している。
だけど、まさか、こんなこと、あんな危ない場所で目に見えない相手に自由を奪われることがあるなんて全く思っていなかった。オラ自身も「せいぜい、その辺の何処にでも居て、些細な影響を与える者」という認識しか無かった。こんな目に遭ってとりあえず無傷で居るし、怪我もしていない。でも、恐怖は植えつけられた。
結構、色んな場所で、色々と無茶な行動しているけどね。田代元湯の崩れかけた橋を渡るのでさえ、片手にカメラ持ちながらスイスイと渡れる。山の中に独りで分け入るのも全然怖くない。夜中に城ヶ倉大橋やら下湯、八甲田に行っても別に怖くはない。でも、今回のこともあり、迂闊な行動はやめようかとマジで思った。無防備&無力にされるって事ほど怖いものはない。