土に還ること
公園南西エリアに縄張りを持つハシボソ旦那が死んで1週間。
ゴミとして焼却されるのが痛ましくて木の洞に放り込んだが、昨日は誰かが洞から穿り出したようだ。
死んで直ぐにハエが卵を産みつけたようで、順調に土に還っているようだ。
いつものようにお供えをして手を合わせる。
オマエが死んだ理由は分からない。
喧嘩で深手を負ったのかもしれないし、餓死したのかも知れない。
人間は人間同士守る事はできるが、カラスであるお前たちは野生の生き物だからな。
自由という権利の代償として、エサを必ず食べれるという保障はない。
仮に餓死だとすればおまえが消極的だったからだ。
オラは見ていても面白くもない馬鹿ハトにエサをやるよりも、スズメやカラスの方が好きだし、チャンスはいくらでもあった筈だよ。
だってさ、木の上から叫んでもダメだろ。ちゃんと近くまで来ればエサくらいもらえる事を知っていたはずだ。
公園に来る人も、円らな瞳で口をあけているカラスが可愛く見えてエサをやってる人も居る。
それに、人からエサをもらう時は、決して人間に威嚇してはならないことも全員に教えたはずだけどな。
お前らが1日にどれだけのエサを必要としているのか知らないけど、空腹なら遠慮なんかしていられないはずだ。満腹にしてはやれないけど、オヤツ程度のエサは上げることだって別にどうってことない。
ここいら一体のゴミ収集場所はカラス・野良猫・野良犬対策がされていて、ゴミは漁れないし、公園に実る果実や草の実なんて限られている。
君等のような野鳥からエサや領地を奪ったのは人間なんだから、オラはハトのような家禽には情けはあまりかけないが、オラはカラスとスズメの観察が好きだし、君らは100m離れててもオラの顔を認識できてるだろ。もう少し気を許してくれても良かったんじゃないか?
オラが君らを攻撃したことなど一度も無いはずだ。
短い付合いだったけど、今度も君がカラスに生れ変ったらもっと仲良くしような。