さすが氷点下。雪が軽い。ササッと雪かきは終わった。というか雪を掃いた。
雀は耳が良いね。糞ハト野郎に気付かれないようにソ〜ッとドアを開けて開ける時にカチッと音が鳴るのだが、その音に反応してすっ飛んでくる1羽。
まあ、命がかかってる訳だから必死だよね。食料の草の種は雪の下。食うものと言えば樹皮にくっついた虫の卵とか?軒下の隙間で冬眠中の小虫とか。不味いとか言ってられないから何でも食うのだろう。
だから冬の間は距離が近い。餓死かカラスの餌になるか、人間に捕まるかの2択。
わざわざ上等な飯を、襲う様子も見せない人間が毎朝くれるんだからドアを開けるたびに逃げてちゃ早い者勝ちのメシを食いっ逸れる。数日もすれば逃げるよりも詰め寄るという行動に出る。
でも、全員ではない。
100羽の内の1羽くらいだ。そいつが最初の1羽。スズメ勇者だ。図太くて観察眼に長けてて何ではなく誰が自分にとっての味方なのかを積極的に知ろうとする。烏合の衆の中のリーダー的存在。
他のスズメは勇者に学ぶ。
1羽が警戒するまでもなく人間に餌を貰ってるとする。どう見ても人間に近く正面切って飯だけに集中している姿を他のスズメが見る。普通に考えれば、振り向いて屈んで、飛び、人間の手の届かない範囲までぶまで1秒近く掛かる。
野良にとってはこの1秒は生死を分かつには十分な長い時間だ。この人間にはそれが必要ないと他のスズメは見るだろう。
他のスズメは勇者を真似る。
でも、スズメが100羽居たとしても距離感には大きな差がある。人間から見たら手の届く範囲に居るスズメは少ない。誰かの後ろからお溢れを狙うとかが普通だ。遠いやつは3m以上離れている。それが普通だ。それだけ話の通じない何かとは恐ろしい捕食者という認識であるべき。
人間が賢い話の分かる怪獣に餌を貰ってるようなもの
人間は自分が好ましいと思った異種族に親切だが、自然界では異種族を助ける事はある。理由はわからないが、心境の変化とか、可愛そうという感情があるのかも知れない。
共生関係以外に寄生という関係はあるが、人間とスズメに共生関係を見出す人は少ない。結構学ぶことは多いんだけどね。オラはその代償を餌という形で返しているだけ。
オラから見れば共生。スズメは餌を貰える理由が分からないから寄生であり依存でもある。何故にこの人間は襲わないのか。
スズメはどうして餌をくれるのか分かってないだろうと思う。でも、そこまで考える脳味噌も無いし、何故か人間は餌をくれるので敵ではない。餌を食わねば死ぬ事は決定している。餌が貰えるなら貰っておこう。多くはそう考える。
明らかに感情を読もうとする積極的な個体が居るのは確か。多分、そういうやつは長生きする。長生きする分だけ賢くなる鳥は多い。人間の表情の意味も多分普段から観察しているのだろう。
オラを観察している鳥を観察するのは面白い。多分だけど種族間での観察って、互いを理解しようとしている訳だから、互いを知ろうとしている内は弱肉強食とは無縁で居られるのかも。