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2022年10月29日土曜日

高嶺の花から庶民の道具に パソコンの歴史の40年

 小学生の頃、パソコンと言えば1台で数十万円が普通で、データの記録はデータレコーダー(カセットテープ)で記録するのが普通だった。

安くて20万円くらい。高くて50万円以上。今の携帯電話の性能の数千分の1にも満たないそのパソコンを持つのが夢で、それでワープロやCGを描いたり、音楽を鳴らす。自分でプログラミングしたり、雑誌のプログラムリストを手入力してゲームを楽しむという最高のツールに思えた。

中学校の時、ファミコンやSEGAのSG-1000が出た。何故かSEGA派のオラはSG-1000を買った。中学3年でCASIOのPB-100Fというポケコンを買ってもらう。画面が1行分しか無い高性能電卓のようなものだ。

高校に入学したお祝いにとファミコンとファミリーベーシックを買ってもらい、そこからプログラムを始めた。当時の情報処理の授業はプログラミングには程遠く、ワープロ打てたらOKみたいな内容で、ファミリーBASICでキーボード慣れしているオラはクラスの誰よりもタイピングが激速だった。

社会人に成り、MSXやX1を購入する。MSXはゲーミングパソコンという立ち位置だが、それなりに優秀なパソコン入門機である。その後、MSX2、MSX2+、MSX turboRを購入。X1もX1-G/X1 turboZと上位機種に乗り換えた。それぞれに結構色々とクリエイティブなパソコンライフを満喫していた。

他にもゲームがしたくてNECのPC-88やPC-98も中古で手に入れた。そして1996年。会社にWindows95のパソコンがやってくる。たったの1台だが。

それまで会社では富士通のFM-KやFM-Rといったオフコン(オフィスコンピュータ)が主力だった。一番最初に使った会社のオフコンは8インチディスクが付いていた。実に巨大で、今で言う大型の除湿機のようなサイズ。重さは数十キロ。画面は緑1色。それでもワープロと表計算が使えただけでも電卓を叩く時代は終わっていた。

ところがWindows95のPCが入ったものの、キーボードしか馴染みのない諸先輩方は誰一人としてWindowsに触れることはなかった。唯一触れられたのはMSX2からマウスでお絵かきしていたオラだけだった。それ以前に友達がWindows95を持っていて、所謂”エロゲ”目的ででパソコンを所持していたので軽く数分触った程度ではあったが、キーボードは完璧で、マウスも違和感なく使えたからだ。

それでも入ってたソフトはMicrosoftOffice95/Fujitsu OASYSのみ。数台のFM-Rを使いたい時だけ机に持ってきて使うという限られたリソースの中でさえ、誰もWindowsやOfficeには触れなかった。

ある時、会社で数千万円のプロジェクトで進捗管理を、WindowsとAccessで行なうことと成った。それまでは紙でやってて集計が大変なのと、進捗管理が無理。在庫は1度に全数送りつけられる。始まったら1か月以内に終われというだけの仕事。これを日々進捗管理にするという。しかも完了率に対する回収率なども同時にだ。この紙を全てそのシステムに入力しなきゃならない。

そこに白羽の矢が立ったのがオラである。結局のところ押し付けられたのである。

この時のクライアントからのオラ個人の評価は大絶賛だったのだ。なにせ、たった1週間でWindowsとOfficeを使いこなせるようになるパソコンヲタクである。クライアントの用意したシステム(仕組み)を担当者以上にいきなり使いこなしたら、クライアントから先生呼ばわりされ全国から見学が殺到した。この時の名刺が課長代理。客からの評価は抜群なのだが、会社の評価はとても低い。

WindowsPCが普及して、会社も一人一台机にという時代に突入する。

メーカーの下請けが来て、必要な仕様に変更して、必要なソフトを入れて、通信回線に繋ぐ。LANで繋がれた複合機を参照させ、ネットワークプリンタを繋げる。これら「キッティング」という作業を現地(会社の事務所)でやるのだ。地味に数台ずつ導入されるPC。メーカーの下請けはド素人。一方でオラは既にその設定書がまるごと頭に入っている。彼らが半日かけてやるキッティングはオラに掛かれば並列処理で1台あたり30分。待ち時間に次のPCのキッティングに掛かるので5台やっても1時間。

なにせ、どこのメニューからどこを開いて、何を入力するか頭に入っているのでいちいち紙の資料など見ないので数秒で済む。インストールやネットワークの参照に時間がかかるだけで、その間は腕を組んで画面を睨めっこしているだけ。しかもPCを複数台同時にキッティングしている。

会社は偉い順にPCが配備されていく。普通は末端の処理効率を上げるのが先でしょ。

下っ端戦闘員のオラのPCはまだ無い。無いんだけど、県内の各支店の中で一番詳しいのはオラだ。質問攻めに遭う。それも慣れてしまって、画面を見なくても画面の何処をクリックして、何行目の項目に何を入れてというネットワークの接続不良の回避や、導入されたソフトの設定変更。ネットワークの消失時のマニュアルは頭の中。

では、その間はどうしていたのか。自前でミニタワーのPCを組み立てて、自分の机に置いていた。CPUも周りより高速。メモリも倍以上。HDDも大容量。更にグラフィックボードとサウンドカードもぶっ挿して、3Dレンダリングのゲームまで出来るパソコンで仕事してた。無論、会社のネットワークにも繋いでいたし、フリーのアンチビールスも導入。セキュリティーも万全だ。

当時、世の中はNetscapeというブラウザが高性能であったが、MicrosoftはInternet ExplorerをWindowsに最初からインストールし、ブラウザのシェアを奪う作戦に出ていた。思惑通り、世の中はInternet Explorerで埋まった。しかし、悪意あるハッカーであるクラッカーがターゲットにしたのはNetscapeではなくInternet Explorerである。

世間の企業や官公庁はこぞってInternet Explorerを使用していたため、今よりももっと酷いクラッキングやデータ破壊を受けていたが、内の会社は情報システム部の部長さんがNetscape派だったので蚊帳の外であった。

この頃はパソコン教室というものがそこかしこに存在していた。パソコンは自分で覚えるものであり、会社で操作方法をいちいち聞くものではない。

・・・のだが、質問攻めに遭ってるオラが居た。

時代は進む。

Windowsも98、98SE、2000、XPとなる頃には、全員に1台のPCが配備された。2003年ころだと思う。その頃にはみんなも普通にOfficeを使っていて、FM-Rの画面でLotus123やOASYSなどを使わなくなった。Officeに統一されたのだ。各人のデスクには基本的にノートPCが配備された。停電しても一時的なら内部バッテリーでしばらくは使えるからだ。

何かあれば全部オラに質問が回ってくるのは相変わらずである。なにせ、皆が四苦八苦している間に、何台だろうとズラーーーーーーーーッとPCを並べてまとめてキッティングを行なってしまう。この頃には徐々に現場ではなく、本社である程度のキッティングを終えて、残るは現場でのネットワーク接続とネットワークプリンタの設定のみと成っていた。

時代は進む。WindowsXPの終焉を迎える。

スマートフォンやタブレットなるものが出現する。要するに、タッチパネル式である。スマホやタブレットもパソコンと同じである。キーボードの有無くらいのものと、OSがWindosか、iOS、Andoroidの違いである。これらは爆発的に普及した。

Windowsも8,10と進む。スマホやタブレットが激的に売れ、販売価格も急降下した。ブランドに拘らなければAndroidで十分。性能だって負けていない訳だし、ピンキリなんで好きな性能のものを買えば良い。

まるでMSXの時代を思い起こす。メーカー各社が共通仕様に基づいて製品を出せば、どこのメーカーのものを購入しても同じアプリを使える。ほんと、MSXの思想は今のAndroidの先駆けだったのだ。これに逆行しているのはiOSで動くスマホを自社でしか販売しないAppleである。ちなみにiPhoneで大騒ぎしているのは日本人くらいのもので、海外での主流はAndroidである。iPhoneの何処が良いのかオラには理解できない。それはブランドバックみたいなものですか?。

タブレットも10インチのものが2万くらいで買えるようになる。キーボード付きソフトケースにタブレットを収めればそれはもうパソコンと同じだ。Googleは更にChromebookも発売する。これも幾つかのメーカーが発売しており、ピンキリだ。安いのは2万円台だ。これは学校での導入が進んだ。

世間では携帯電話はほぼスマートフォンに置き換わり、パソコンの普及率は下がった。キーボード入力できない子どもたちが就職してきて、パソコンの普及から少なくとも30年以上は経過しているのだが、パソコンは特別なもので一般人が触れるようなものではないという旧人類はまだまだ多い。いや、パソコンは一家に一台の時代はもう終わったのかもね。

2019年暮れ、新型コロナウイルス登場

これにより、感染者は会社に出てこられなくなった。それに、通勤や勤務中に感染するくらいならと自宅でパソコン弄れば同じでしょ?ということでリモートワークなるものが増える。

この頃にはスマホやタブレットに市場を奪われたパソコンは値段が上がり、性能もパッとしないものばかり。と思えば豪華装備のゲーミングPCなるものも一定の支持層を得ている。このクラスのパソコンになると、大昔のスーパーコンピューター以上の高速3D描画能力を持っている。凄い世の中になったものだ。スマホやタブレットも同じくGPUが超絶性能に至っており、PS2くらいの3Dゲームは普通に動くレベルのものが搭載されている。

凄い時代に成ったものだ。

そして現在。パソコン市場がリモートワーク需要で一気に息を吹き返した。一時は消え失せたネットブックと言う小型のノートPCも普及し、ラウンジや喫茶店で軽作業がごとくPCが使えるようになる。10インチ程度のWinows10なら3万円前後からある。

それでも、頑なにパソコンを避ける人種はまだまだ多い。やってみると意外と簡単なのだが、根底に「パソコンは怖い」「壊したらどうしよう」「キーボードって何でアルファベット順じゃないの?」とか、まずは触ってみよう!・・・の前の段階で足踏みしているのだ。

スマホのフリック入力に慣れた若者がパソコンのキーボード入力できない件・・・

いやいや、キーボードなんて使ってる内に成れるしマウスだってタッチパネルと大差ないでしょ。アクションの有無がボタンを押しているか否かの違いだけである。

一時期、ガラホでJKが物理キーを見ずにプチプチと文章を入力していた。今はフリック入力が主力のようだ。キーボードはダイレクトに1アクションで一文字打てる。でもフリック入力は押す、スワイプして文字を決定するという操作。

しかもパソコンを使えない人もスマホに移行している割にニュースや動画を見るだけで文字入力は殆どしない。せいぜい10キー(数字キー)くらいのものだ。これ、最近知ったことだ。自分のメールアドレスを会社指定のサイトを表示して入力するだけなのに、10分とか掛かる人が居る。大昔で言うキーボードを人差し指だけでゆっくり押している風景に近い。

便利に乗っかれない人たち。更に退化していないか?。

今の時代。会社指定のサイトにスマホからアクセスして、そのサイトにログインして、アンケートに応える。確定拠出年金のサイトもスマホからだ。パソコンを貸与されている人はパソコンからできるが、事務職以外は契約社員まで全部スマホで会社の指示通りに報告が義務付けされている。

会社も会社だ。せめて共有のタブレットでも事務所に1枚置いてくれれば、大きな画面で操作できるのに、自前のスマホからの提出なので小型のスマホだと入力画面の半分がソフトウェアキーボードで隠れてしまう。場合によってはGalaxyなどはChrome互換のブラウザなのに動作不良で画面が進まないとかログインできないなどの不具合が多い。

それを事務員側が対処することになりてんやわんやである。なんで個人のスマホの使い方や設定まで対応しなきゃならんのだ。時代はペーパーレスになりつつある。それでも紙からの脱却ができないのは政府にも問題がある。業務上の管理において紙ベースでの記録と保管を義務付けられているからだ。

政府の人間が推進しようとしているペーパーレスの時代は、政府の人間の決めたことで紙から脱却できない。そして、ぺーパーレスの為に、普段から使ったこともないフォームへの入力を強制させられ、スマホもパソコンもまともに操作できない人間の相手をさせられる負担とストレスは上昇しまくるのだった・・・

いくらパソコンが会社で当たり前に使われるようになり、仮定で普及しようとも、パソコンなんて必要ないと思っている人は一定数いる。そして、パソコンでは普通によく見てよく使うメニュー画面も、スマホユーザーは主にSNS。ニュースや動画や音楽でしか利用することがなく、スマホを使いこなしている人は殆ど居ない。

単にエンタメ関連の利用のハードルは下がったが、パソコンでネットを使っていると見慣れたユーザーアカウントの作成やログイン。アンケートの入力というものに免疫が殆どない人だらけということも今回知った。

自分のメールアドレスの入力に10分も掛かった人も居たのだ。

そういう訳で、パソコンや、その亜種であるスマホが幾ら普及しようとも、それらをそれ以外で使用する事がない人や、パソコンには絶対に触りたくない人は一定割合存在する。そういう人に、会社の指示だからと、

「このQRコードを読んでサイトにアクセスして、あなたのアカウントとパスワードはこれだからログインして、あとは始めるでアンケート画面に行くので、全問答えておいてね」

と言っても、一筋縄に行かないのだ。あくまでもパソコンの活用や習熟。様々なサイトを利用して楽しむ。その上で業務にも使用し、仕事の効率が格段に上がるというのは自助努力の範囲。

パソコンの有効活用自体に興味がない人は本当に微塵興味がなく、会社の命令だからと言っても操作が理解できないという回答をされ、入力しないと本社から急かされるので代わりにログインしてあげたり、入力も質問内容を読み上げて、回答を選ばせ、代わりに解答するなんてバカなことをしなければならない。

スマホを持っているのに、スマホでその程度のこともできない人がいる。80のうちの母を回転寿司に連れて行ってもタッチパネルの操作ができないので教えてやらせてみたものの、やはり脳が全拒否という人種には習得が難しいのかも。

40年前からパソコンに憧れ、徐々にグレードアップし、魔法の箱として十二分に活用してきたオラからするとパソコンは単なる道具の延長である。様々なことを同じ道具を使い同じ操作で完結し結果を出せる。メモ帳であり、プレイヤーであり、辞書であり、画板であり、編集装置であり、活動報告であり、やりたいこと全てがネットを通じてできてしまうというだけ。

ただ、オラはデジタル人間であると同時に、物凄いアナログ人間でもある。道具は所詮道具なのである。それを使いこなそうとする考え方は、刃物でも、楽器でも、パソコンでも同じ。どうやって使おうか。どうやったら上手くできるだろうか。もっと上手い使い方はないだろうか。もっと凝ったことが出来ないだろうか。それを行おうという意思さえあれば、後は慣れだけ。成れると面白くなる。もっと凄いことをしてやろうと考える。

オラの中では40年という時間に常にコンピューターというものが存在した。だから進化にも徐々に適応して行けた。前段としての電子工作はもっと大きな自信を与えたこともある。機械に対する恐怖がないのだ。

でも、どうだろう。パソコンを年賀状の印刷にしか使っていない人も居る。電話を電話機としてしか使っていないのにスマホを持っている人も居る。彼らの中では、多分、一生関わることが無いので覚える必要はないという意識が未だにあるのだろう。その為にその人の中では、触れる機会があった時より適応のチャンスを全てスルーしてきた結果、スマホからログインしてアンケートに答える。年末調整の画面に入力するというほんの僅かな作業すらもおっかなびっくりのレベルなんだろうなと、改めて思い知った。


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